COLUMN

近年の日本の脱毛サロン倒産とトラブル事例まとめ

だつもうサロン倒産
目次

脱毛ラボ(2022年8月倒産)

脱毛ラボは全身脱毛の低価格プランで知られた大手サロンです。
運営会社セドナエンタープライズが2022年8月26日に東京地裁へ自己破産を申立て、同日付で破産手続開始決定を受けました​。

脱毛ラボの倒産理由

広告宣伝費の増加で慢性的な赤字を抱えていたところに、新型コロナウイルス感染拡大で資金繰りが逼迫し事業継続を断念したと報じられています​。

全国47店舗で約3万人の契約者が未消化の施術を抱える形となり、予約はすべてキャンセル扱いとなりました​。

破産管財人による債務整理が進められましたが、利用者への前払い金の返金見込みは立っていません。

クレジット払い利用者に対してはカード会社への相談(チャージバック手続き)などが案内されましたが、実質的に利用者は泣き寝入りのケースが大半となりました​。

ラドルチェ(2023年4月全店閉鎖)

ラドルチェは関西を中心に8店舗を展開していた地域大手の脱毛サロンです。

低価格で回数・期間無制限の脱毛コースを売りにして人気を集めていましたが、2023年4月末に全店舗を突然閉鎖し事業終了を発表しました​。

ラドルチェの倒産理由とそのトラブル

同社は契約途中で従来の無制限脱毛コースを一方的にセルフ脱毛(自己処理)に変更しようとしたため、多くの顧客から苦情が殺到しました。

重要事項の不備も指摘され、解約・返金を求める動きが広がったことで経営が行き詰まったとみられます。

無制限コースを利用中だった顧客を中心に多数が施術途中で放置される形となり、被害者(債権者)は数千人規模に及ぶ可能性があります​。

2023年8月、適格消費者団体が大阪地裁に対して契約解除と返金義務の確認を求める集団訴訟(共通義務確認訴訟)を提起し、現在も法的手続きでの解決が図られています​。返金については、特定商取引法に基づく契約無効を主張して対応を進める方針とのことです。

シースリー(C3、2023年9月倒産)

シースリー(C3)は全国63店舗を展開していた全身脱毛サロンです。
運営する株式会社ビューティースリーが2023年9月25日に東京地裁へ自己破産を申請し、即日破産手続開始決定を受けました​。

シースリーの倒産理由

「通い放題」の定額制プランで顧客数を伸ばしましたが、人件費の増加や脱毛サロン同士の価格競争激化で利益が圧迫され、経営が立ち行かなくなりました​。

加えてコロナ禍で一時全店休業を強いられるなどの打撃もあり、資金繰りが悪化しました​。

約4万6千人の利用者が債権者となり、支払い済みの脱毛コースが途中で受けられない状態となりました​。

未消化分の施術については別のサロンで引き継がれる予定が発表され、希望者は自ら問い合わせる必要があると案内されました​。

ただしシースリー自身からの返金はできない見通しで、破産財団による配当も現状では見込みが立っていません​。

銀座カラー(2023年12月倒産)

銀座カラーは全国に約50店舗を展開した大手脱毛サロンです。

2023年12月15日に運営会社のエム・シーネットワークスジャパンが東京地裁から破産手続開始決定を受け、全店舗が突然閉店しました。

銀座カラーの倒産理由

新型コロナ禍で来店客が減少する中、「全身脱毛し放題」など前払いの通い放題プランを大々的に販売して急成長しましたが、低価格・前払金頼みのビジネスモデルが自転車操業状態となり経営が行き詰まりました。

支払い済みのコースが残っていた約10万人の利用者が施術を受けられなくなり、支払金の返金もほとんどなされない事態となりました​。

他社による救済策が講じられ、ミュゼプラチナムなど複数の脱毛サロンやクリニックが被害者向けに一部無料施術サービスを提供するなど救済に乗り出しました​。

しかし、銀座カラー利用者への直接の返金は困難で、分割払い残額の支払い停止やクレジットカードのチャージバック対応が案内されるに留まっています​。

Be・Escort(ビー・エスコート、2024年11月倒産)

ビー・エスコートは東海地方を中心に全国展開していた老舗脱毛サロンチェーンです。
運営会社の株式会社セピアプロミクスが2024年11月25日付で東京地裁から破産手続開始決定を受け、事業停止となりました​。

業界全体で価格競争が激化する中、地方への急速な店舗拡大による経営負担や税金の滞納が重なり、経営破綻に至ったとみられます​。

また、信用販売(ローン払い)に対する規制強化で前払金ビジネスの限界が露呈したことも背景にあるようです​。

銀座カラー倒産時には救済策を提供した企業の一つでしたが、自社も倒産したことで多数の会員が未消化コースを抱える事態となりました​。

正確な被害者数は不明ながら、長年運営されてきた老舗チェーンだけに影響は広範囲に及んでいます。
一部のフランチャイズ店舗は店名を変更して営業継続される見込みと報じられています。

また他社サロン(例: ストラッシュなど)がビー・エスコート会員向けの救済施術プランを発表し、顧客受け入れを表明しています​。

しかし前払金の直接返金は極めて困難とみられ、利用者保護の課題が改めて浮き彫りになりました。

アリシアクリニック(2024年12月倒産)

アリシアクリニックは医療脱毛クリニックですが、脱毛業界において無視できない事例です。
運営法人の医療法人社団美実会(および関連の一般社団法人八桜会)は2024年12月10日に東京地裁から自己破産手続開始決定を受けました​。

アリシアクリニックの倒産理由

サロンではなく医療機関ですが、高額な設備投資や過剰な広告費が重荷となり経営が悪化したとされ、脱毛業界における急成長のリスクを示すケースとなりました​。

ピーク時には年間163億円もの売上を上げる急成長を遂げていましたが、出店コストや広告宣伝費が利益を圧迫し持続可能性を欠いたようです​。

全国の43院が営業停止となり、債権者数は約9万1,818人、負債総額は約124億7,133万円に上ります。

医療ローン契約を結んでいた患者も多く、施術未消化分の返金は「極めて難しい」と破産管財人から案内されています。その後の対応: 治療途中の患者には他院への引き継ぎなど直接的な救済策がなく、各自でローン会社への支払い停止や法的手続きを検討する状況です​。

医療脱毛業界にも波及した大規模倒産として、利用者保護や経営の健全化が強く求められています。

脱毛サロン業界で過去5年以内に発生した主なトラブル事例

過去5年の間、倒産には至らなくても脱毛サロン業界では様々なトラブルが報告されています。
以下に施術ミスや解約・返金トラブル、広告表示の問題など、代表的な事例を挙げます。

それぞれトラブル内容・発生時期・影響規模・事業者名の順でまとめます。

大阪市の無資格施術によるやけど事故(2023年6月)

大阪市内のエステサロンにおいて、医師免許を持たないまま光脱毛の施術を行い、女性客に重度のやけどを負わせた事故​。必要なフィルターを装着せずに照射した過失と無資格で医療行為に当たる脱毛を実施したことで、違法行為とみなされており、大阪府警により書類送検されました。

「恋肌」の広告表示に関する景品表示法違反(2022年3月)

脱毛サロン「恋肌(こいはだ)」のWeb広告において、料金表示が実際より著しく有利に見える誤認表示が行われていた事件です。

例えば「月額1,409円で顔・VIO含む全身62部位が最短3か月で脱毛完了」と宣伝していましたが、実際には3か月で全身脱毛を完了しても総額64,790円以上かかるにも関わらず、あたかも総額4,227円で済むかのように表示していました​。
この表示は消費者に誤解を与える不当表示(有利誤認)と判断されました。

この誤解を招く広告により多数の消費者が実際の支払総額を過小評価して契約した可能性があります。
正確な被害人数は不明ですが、若年女性を中心に広く利用されていた人気サロンだったため影響は大きいと考えられます。

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